なつかしく謎めいての感想やどんな人に読んでもらいたいか紹介します!

 

こんにちは。

SF小説を読んでみたいという方に、おすすめの一冊をご紹介します。

それは、「なつかしく謎めいて」という作品で、アーシュラ・K・ル=グウィンという、アメリカの有名なSF作家が書いた本なんですよ。

空港にいた主人公が、なぜか、いろんな異次元へ旅をするという、SFファンタジー小説。

ということで、この記事では「なつかしく謎めいて」を読んだ感想や、どんな人に読んだもらいたいかいついて、ご紹介していこうと思います。

それでは、最後までゆっくりとご覧になってください。

なつかしく謎めいての感想について

SFファンタジーの短編集。本自体は厚みがありますが、短編ひとつひとつは15分もあれば読めてしまうくらいで、ちょうど待ち時間に読み切れるような分量になっています。

地球上の空港から様々な次元を横断できるようになった語り手が、ガリヴァー旅行記さながらにファンタジー的な世界を紀行する幻想小説。

空港で飛行機(plane)の遅延に苛立っていた語り手が、他の次元(plane)を旅行するようになるという言葉遊びが入っているのも洒落ています。

短編は全部で16ですが、最初の作品は次元移動の方法についての説明となります。

語り手は『生物がほぼすべて遺伝子操作された次元』『沈黙する人々』『いつも怒っている人々』『渡りをする人々』『夢を共有する次元』『人類の殆どが王族の次元』『四つの悲惨な歴史を持つ国』『一年中お祭りの観光島』『眠らない人を隔離する島』『ヒトデのような言語の次元』『建物を作り続ける人々』『翼人間』『不死人』『ねじ曲がったしっちゃかめっちゃかの次元』の15の次元を旅します。

全ての次元は色々と個性豊かでありながら、どの次元の人々も色々と苦しみや社会問題を抱えて生きています。

風刺的な一面も強く、現実の社会問題に対するメッセージ性も色濃いと言えるでしょう。

一方で、作品の中ではその次元を否定を直接的に表現することはなく、あくまで語り手は観察者としてのスタンスを崩しません。そのため、説教臭さもなく話に没入できました。

私が特に好きな話は、『眠らない島』です。

科学者がバカなしでかしをしたことで、眠らなくて済む人間が誕生した話。

具体的に何が起こったのかはネタバレになるので控えさせていただきますが、リアリティのある怖さはこの章が断トツでした。

なつかしく謎めいてが映画化(ドラマ化)されていない理由について

懐かしく謎めいては映画化やドラマ化はされていないようです。

理由として、作者が自作品のメディアミックス活動に関して非常に難色を示すタイプであったということが挙げられるでしょう。

なぜそうなってしまったかというと、作者が書いた別作品がアニメ映画化されたときに起こったトラブルが原因です。

ある日本のアニメ会社が作者の代表作をアニメ映画化すると打診し、作者も承諾しました。

しかし、実際にできあがった映画は会社側が契約時に持ってきた条件とは色々と違っており、作品の出来もとても作者が満足するものではありませんでした。

そのことがきっかけで、作者はその会社に限らず自作品のメディアミックス化に非常に慎重になってしまいました。

なつかしく謎めいてはこんな人に読んで欲しい

『ゲド戦記』『闇の左手』などは日本でも非常に知名度の高い作品ですが、彼女のこれらの作品を面白いと思える人は、まず間違いなく買って損はありません。

実際、私も作家買いをしてよかったと思えた作品でした。

また、本書は分類としてはSF小説に入っていますが、ファンタジー小説の要素も色濃い、所謂SFファンタジーの部類でしょう。

そのため、なんとなくSFに苦手意識がある…、設定とかの把握ができるか不安…、というSF慣れしていない方が手に取っても楽しめるジャンルだと思います。

短編集なので、飽きてだれたり、話の全容を把握しきれなくなってついていけなくなってしまったりという心配もありません。

また、小学校高学年くらいの、読書が大好きといったお子様にもおススメだと思います。

実際、どこかの小学校で課題図書として選出されていた実績もある本です。

『ゲド戦記』は小学校の図書棚に必ずといっていい程置いてあるので、『ゲド戦記』を気に入った子ならきっと楽しんでくれると思います。

アーシュラ・K・ル=グウィンのプロフィールや経歴・代表作品

・名前:アーシュラ・K・ル=グウィン
・本名:同上
・年齢:88歳没
・生年月日:1929年10月21日
・出身:アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー
・身長:163cm
・血液型:非公開

アーシュラ・K・ル=グウィンの経歴について

アメリカで活動したSF作家で、「SF界の女王」と称される人物。

結婚後、歴史学者である夫との間に子どもをもうけたのち、幼少期から温めていた構想を元に、現代の架空の国オルシニアを舞台にした短編を執筆し、商業誌に発表。

それをきっかけに作家としてデビューを果たした。

当初は注目を集めなかったが、母親がかつて原稿を送った出版社から依頼を受けて執筆した『影との戦い(ゲド戦記第1作)』の出版を機に、一躍人気作家となる。1969年に発表した『闇の左手』ではヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞し、その名を広く知られるようになった。

その後も数々の賞を受賞し、ヒューゴー賞を5回、ネビュラ賞を6回獲得。

ローカス賞に至っては19回も受賞しており、この記録は現時点で全作家の中で最多となっている。

2018年、自宅で88歳で生涯を閉じた。

作風は、歴史学者や人文学者であった父母や夫の影響を受けてか、科学技術やハードウェアに重点を置くのではなく、社会学や人類学といった社会科学的側面を強く反映させている。

また、フェミニズム的な要素は後年になるにつれ、より顕著になっていったとされています。

アーシュラ・K・ル=グウィンのの代表作品について

  • 『ゲド戦記』
  • 『闇の左手』
  • 『西の果ての年代記』

まとめ

アーシュラ・K・ル=グウィンの「なつかしく謎めいて」は、多次元を旅する語り手を通して、幻想的で風刺的な世界観を描いたSFファンタジー短編集です。

それぞれの物語が現代社会への鋭い洞察を含みつつも、読者に考える余白を与える絶妙なバランスで展開されます。

短編集ならではの手軽さもあり、SF初心者やファンタジー好きな方、小説にメッセージ性を求める読者に特におすすめです。

この作品を通じて、異なる次元での人々の生き様から現実を見つめ直す旅に出てみませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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