彼女がその名を知らない鳥たちを読んだ感想やどんな人におすすめしたいか紹介!

 

みなさん、こんにちは。

今回は「彼女がその名を知らない鳥」という小説をご紹介していきます。

最初はミステリー小説だと思って読み始めましたが、サスペンス要素もある究極の恋愛小説とも言えるのかも。

そんな、「彼女がその名を知らない鳥」を読んだ感想やどんな人におすすめかについてご紹介していきますね。

それでは、最後までゆっくりとご覧になってください。

彼女がその名を知らない鳥を読んだ感想

サスペンス要素も孕んでいる作品なので好きかもしれない、と購入した本です。

沼田まほかるさんの作品は、ちょっとインモラルな登場人物が多い印象なのですが、この作品も例外ではないというか…。

この作家さんの中でも屈指の、「インモラルな人たちしかいない」小説だと思います。

正直、登場人物ばかりにスポットを当てて読んでしまうと、下品で、下劣で、不快感しかなくなってしまいます。

しかし、主人公の十和子の恋人である陣治の一挙一動には、常に身を挺してでも十和子を支えようという優しさが滲んででいました。

初めは彼の汚らしさや冴えない振る舞い、そして自堕落なのに謎の暴力性を孕んでいる十和子からの、陣治に対する執拗なモラハラにばかり目が行ってしまって、読みながらとてもイライラしていました。

それでも物語が進んでいくにつれ、徐々に陣治から十和子へ向ける、無償の愛情と優しさを無視できなくなっていきます。

この小説のラストシーンで陣治は文字通り、身を挺して十和子を過去のトラウマから救い出しました。

そこで彼女は最初から最後まで「なんか側にいるいじめてもいい人」くらいの扱いでいた陣治を、とうとう本心から自分の恋人だと認めたのです。

前半からクライマックス近くまでずっとイライラしながら読んでしまっていましたが、このラストシーンの美しさは、他に類を見ないほどだったと思っています。

言葉で表現するのは難しいですが、本当に最初から最後までなんだか薄暗く汚くて、大嫌いだけど、とても大好きな小説になりました。

彼女がその名を知らない鳥の原作と映画の違いについて

この作品は映画化されていますが、原作にある程度忠実に作ってありました。

ただ、原作では冒頭に配置されていた陣治と十和子が出会うシーンがクライマックスへ移動していたりと、より映画っぽくなるように、うまく時系列を入れ替えているように見えました。

一番違ったのは、「これでもか!」と、陣治の不快感をうまく使って読者に「キモいおじさん」という印象を植え付けておきながら、結末で大きくひっくり返す作りになっていた原作に対し、映画版では徹頭徹尾、きれいな恋愛映画として十和子への無償の献身ぶりがハッキリ見えるように、陣治の「キモさ」がマイルドに薄められていた点でした。

私は先に原作を読んだので、失礼ながら「あの本、こんなにきれいにまとめることができるんだ…」と感心しました。

彼女がその名を知らない鳥はどんな人におすすめなのか紹介

私は今30代後半なのですが、おそらく若い人より同年代かそれ以上の歳の人に、結構響くものがあるのではないかと思います。

本が好きな人であれば年齢に関係なく、ハッキリと描かれない登場人物の行動に対して違和感を持ち、心の機微などにも気が付いて面白く読めるのだとは思いますが、登場人物があまりに「普通」から逸脱している人が多いので、若い方は、序盤の不快感に耐えられる人の方が少ないのではないかと。

ある程度年齢を重ねている人の方が、「ああこんな人、いるよね~」くらいで流せて、序盤の不快感にも耐性があるのではないかな、と思います。

恋愛小説ではありますが、わりと「イヤミス」の要素が強い1冊でもあるので、ミステリ分野の小説が好きな方には自信をもっておすすめできます。

あとは、読むのがつらくて仕方なかった序盤からすでに緻密な伏線が張り巡らせてあって、最後にそれを一斉に回収する手腕が見事なので、どんでん返しものの小説が好きな方には最高の一冊だと思います。

沼田まほかるプロフィールや経歴について

沼田まほかるさんのプロフィールをご紹介します。

  • 名前:沼田まほかる
  • 本名:不明
  • 年齢:74歳
  • 生年月日:1984年生まれ、詳しい日にちは不明です。
  • 出身:大阪府
  • 身長:不明
  • 血液型:不明

沼田まほかるさんは、1948年、大阪府のお寺で生まれました。

1986年から大阪文学学校で学び、在学中に小説作品で大阪文学学校賞も受賞しています。

若くして結婚し、母方の祖父からお寺の跡継ぎを打診されたことで夫が住職になりましたが、このご主人とは離婚して、自らも僧侶になっています。

その後は知人と立ち上げた会社の倒産なども経験しましたが、2004年に初めて書いた長編小説の「九月が永遠に続けば」で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞。

なんと彼女はこの時56歳で、遅咲きの小説家デビューを果たすことになりましたが、その後は鳴かず飛ばずの時期が長く続きました。

しかし2012年には「ユリゴコロ」で第14回大藪春彦賞を受賞、本屋大賞にもノミネートされたことを機に既刊の本も売れ始め、「九月が永遠に続けば」は、60万部も増刷されています。

「猫鳴り」「彼女がその名を知らない鳥たち」「アミダサマ」は、全て合わせて累計120万部を超える売り上げを見せました。

元僧侶という経験からか、死生観の鋭い文章が特徴で、真梨幸子、湊かなえと並び、「イヤミス(後味が悪いミステリー)の三大女王」と呼ばれています。

沼田まほかるの代表作品

沼田まほかるさんの代表作品はこちらになります。

「ユリゴコロ」

「アミダサマ」

「九月が永遠に続けば」

まとめ

『彼女がその名を知らない鳥』は、不快感と感動が交錯する独特の読後感を味わえる作品です。

沼田まほかるさんの鋭い筆致で描かれる登場人物たちの複雑な人間模様は、イヤミス好きにはたまらない一冊。

序盤の暗さや不快感に耐え、最後まで読み進めれば、登場人物に込められた深い愛情や伏線回収の見事さに感動すること間違いなしです。

究極の愛の形に触れたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。

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